山梨肺癌研究会会誌 第19巻1号 010-014(2006)

腫瘍性病変との鑑別を要した肺コクシジオイデス症の1例

小林宣隆、宮澤正久、
平賀理佐子、金井敏晴、千須和寿直、
巾 芳昭、加藤邦隆
石井康博、菱山千祐、大木善之助、小澤克良
加藤 聡、斉藤彰俊
宮田和幸

要旨:症例は52歳男性で、2005年5月の胸部レントゲン検診で左下肺野の異常陰影を指摘され、当院呼吸器科に紹介受診した。受診時に自覚症状はなく、理学所見で異常所見を認めなかった。患者は2003年10月〜2004年10月の一年間、アメリカ合衆国アリゾナリ州こ渡航歴がある。胸部CT検査では左下葉に境界明瞭な19mmの腫癌を認めた。腫癌は胸壁に巾広く接しており肺外腫瘍も否定できなかった。胸部MRI検査では胸膜由来で線維成分主体の腫瘍であるSolitary Fibrous Tumor of the Pleura(SFT)が疑われたが悪性病変が否定しきれないため、胸腔鏡下生検を施行した。術中所見では腫瘤は肺病変であり、肺部分切除術を施行した。病理学的所見上、硝子化した繊維組織の中に肺コクシジオイデス症に特徴的な球状体・内生胞子を認めた。本症例は、帰国後に発見された肺野孤立性腫瘤影に対し、胸腔鏡下生検を行い病理学的に診断した貴重な1例と思われたので報告する。

キーワード 肺コクシジオイデス症 Coccidioides immitis 輸入真菌症 末梢肺野孤立性腫瘤 胸腔鏡下生検



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